原油とは?原油価格が下がるとどうなる?
Tomo
最近ニュースで話題の原油価格の急落。

何となくガソリンみたいなもの?

という感覚でそもそも原油とは?

原油価格が下がるとどうなるのか?

きちんと把握できている人は少ないのかなと思います。

本記事では原油の正体と原油価格が下がった場合の私たちの生活への影響を解説していきます。

1.原油とはそもそもどんなもの??

原油とは油田から採掘されたままの 精製されていない 状態の油(石油)を指します。

逆に精製された原油を石油と呼びます。

この精製とは、石油からガソリンや灯油など様々な石油製品を生み出す工程(作業)のことを指します。

つまり石油(石油製品)とはガソリンや灯油などの総称となります。

ややこしいので一旦ここで整理してみましょう↓

① 原油から石油製品ができるまで

石油製品は連産品と呼ばれ、精製することでガソリンや灯油など様々な石油製品を生み出します。

どういうことかと言うと、石油製品はそれぞれ沸点が違うのでこの沸点の差を利用して精製します。

以下のイメージを見る分かりやすいかと思います。

出典:石油の精製 - 石油情報センター

上図のように原油を加熱して蒸気となったものを集めて様々な石油製品を生み出します。

これが石油製品は連産品と呼ばれる所以です。

つまりガソリンや灯油、ジェット燃料など世の中には様々な石油製品がありますが元はみな同じ原油からできているのです。

② 油田から採掘しない新しい原油「シェールオイル」

シェールオイルは油田から採掘するのではなく、オイルシェールを熱分解して得られます。

ちょっと名前がややこしいのですが、オイルシェールとはカンタンに言うと原油を含む岩石です。

採掘コストが高いため少し前までは主流ではありませんでしたが、2000年代に以下3つ新しいの採掘技術が開発され、2006年ごろから「シェール革命」と呼ばれるほどアメリカ・カナダで開発ブームが起きました。

・ 水平坑井 ( 水平掘技術 )
→横に掘削することで岩石との接触面積が増え生産効率が数倍に。

・水圧破砕
→超高圧の水を注入し亀裂を発生させ、そこから鉱油を採取。

・マイクロサイズミック
→微弱地震の振動波を人工的に起こすことで、水圧破砕で地層のどの部分が破砕されたかを推定し作業効率化に。

のちほど触れますが、現在シェールオイルの生産量は油田からの生産量を凌駕するほどまで増えています。

因みに油田と聞くと海上に設置されている採掘施設を思い浮かべるかもしれませんが、

実は石油が埋蔵されている地域を指しています。

1章では分かりやすくするために「油田より採掘」と表現しましたが、正確には石油を含む地層である「油層」から採掘します。

2.原油はどこにあって、どこで生産されているのか?

中東地域の油田(油層)や北米のシェールオイルなど様々な地域で原油が採掘されていることが分かりました。

では実際にはどの国にどのくらいの量の原油が埋蔵されていて、生産量はどの国が一番多いのでしょうか?

統計データからそれぞれのランキングを見てみましょう。

① 原油埋蔵量ランキング(2018年)

まずは2018年の原油埋蔵量ランキングを見てみましょう。

ランキングはTOP15を抜粋しています。

出典:GLOBAL NOTE グローバルノート - 国際統計データ専門サイト

サウジアラビアは予想通りかと思いますが、南米のベネズエラが原油埋蔵量1位というのが意外だったのではないでしょうか?

ちなみにこのランキングの埋蔵量は「ある時点における経済条件と技術条件で商業的に回収(生産)可能と評価される量」 と定義されているので技術革新によって、回収(生産)可能と判断されれば埋蔵量に計上されます。

サイトでの記載は見つかりませんでしたが、恐らくこのランキングにはオイルシェールは埋蔵量として計上されていないようです。

というのも2005年の全世界のオイルシェールの推定埋蔵量は2兆8000億~3兆3000億バレルあり、そのうちアメリカの埋蔵量が62%となるので、そうすると1兆7000億~2兆バレル程度はオイルシェールだけで埋蔵されている計算となるからです。

そして次に紹介する生産量ランキングでは、オイルシェールが含まれいる旨の記載もあるので。。

② 原油生産量ランキング (2018年)

こちらも2018年のランキングで、TOP15を抜粋しています。

出典:GLOBAL NOTE グローバルノート - 国際統計データ専門サイト

先ほどの原油埋蔵量では9位だったアメリカが生産量では1位となっています。

1章の最後で触れた通り調査対象が違うようなので単純比較はできませんが、

・技術革新でシェールオイルが発掘可能になった

・OPEC加盟国は協調減産している


の2点がアメリカを世界最大の産油国とした要因となります。

3.原油価格が下がると生活にどのような影響があるのか?

株やFX、商品(原油など)に投資をされている方は直接の影響があるかと思いますが、そうではない方にはどのような影響があるのでしょうか?

これは皆さんが想像している通り、石油製品の原材料である原油が安くなるとそれにつれて石油製品も安くなります。

例えば身近なガソリンと原油価格の直近1か月(2月下旬~)の価格推移を比較してみましょう。

◆原油

◆ガソリン

出典:e燃費

ちょっと見にくいですが、、どちらも同じような価格推移になっているかと思います。

ただガソリンについては原油価格からの価格転嫁が数週間程度タイムラグがある、

と言われてますので原油価格は3月9日に急落していますが、ガソリン価格が大きく下がり始めたのは3月12日ごろとなります。

もちろん軽油や灯油なども安くなりますので、家計へのメリットが実感しやすいですね。

また間接的ではありますが企業にコスト面でのメリットが出てくることで、その企業に勤めている人の給与へ反映される場合もあるかと思います。

例えば以下のような企業ですね。

原油安でメリットを享受する企業

・運送/物流会社

・航空会社

・素材メーカー

・電力会社 etc

ただ1つ気をつけなければならないのが、どういう理由で原油安となったのか?です。

純粋に安くなる分にはメリットなのですが、

本記事を書いている3月下旬は新型コロナウイルスによる景気減速/後退が鮮明で、景気が悪くて需要が少ないから安い、という悪い原油安です。

※サウジとロシアの原油戦争ももちろん影響しています。

この場合は景気が悪いので業績の悪い企業が増え、その結果給与へ悪影響となるということが考えられます。

ニュースで原油が安いと報道されていたら、その原因は何なのか?

を調べてみるとまた受け止め方が違ってくるかと思います。

4.まとめ

投資をしていない方にも原油安はいろいろなところで影響がある、ということがお分かり頂けたかと思います。

今回は原油安においての影響のお話しでしたが、2005年にカトリーナというハリケーンがアメリカに上陸して、採掘施設が破壊されてたこと原油価格が70ドル以上/バレル以上にまで高騰したこともありました。

ガソリン価格も通常の3倍以上で販売している業者もあったそうです。

この記事を書いている3月下旬で20ドル強/1バレル、ということを考えるといかに高騰していたかが伺えます。

原油価格が与える投資関連(FX,株,商品など)への影響は別の記事でご紹介できればと思っていますが、

FXですと特に産油国で新興国のメキシコの通貨、メキシコペソが原油価格に影響を受けやすいので、

原油価格を注視しているとメキシコペソへの影響を見てとれるかと思います。

メキシコペソついてはコチラ↓の記事でもご紹介していますので、興味のある方は覗いていってもらえると嬉しいです。

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