

今回はなぜ為替の影響がなぜ軽微にとどまってしまったのかを紐解いていきます。
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1.そもそも米雇用統計とは?
あまりにも有名なのですでにご存じの方も多いかと思いますが、米雇用統計は毎月第一金曜日の22:30~(サマータイムの場合は21:30~)に発表されます。
米雇用統計とはある1つの経済指標をさしているのではなく、次の4つの経済指標を総称してそう呼んでいます。
①非農業部門雇用者数
②失業率
③平均時給
④製造業雇用者数
特にアメリカの流動的な雇用状況の写し鏡となっている「①非農業部門雇用者数」は雇用統計の中でも最重要指標で、「②失業率」「③平均時給」とともに重要視されています。
また雇用統計に限らずですが経済指標発表における為替への影響は、基本的には予想より良かった/悪かった、で判断します。
そのため同時に4つも発表される雇用統計は、予想よりすべて上がってる/下がっているという結果であれば判断しやすいのですが、非農業部門雇用者数は上がっているけど他の3指標は下がっているなど強弱入り乱れているときは為替への影響が読みにくいです。
そういった場合は為替は方向感の無い動きになることが多いですね。
余談ですが同じ日時に「貿易収支」も発表されます。
雇用統計ほど重要ではないのですが、重要指標であることには変わりないので雇用統計の発表されるタイミングは大忙しですね。
2.過去の「発表数値と為替の動き」との比較
そもそもいつもどのくらい反応するのか見るために19年12月と比較してみましょう。
※20年1,2月は今回ほど予想を上回らなかったので、今回の予想とのギャップに近しい結果ということで19年12月と比較します。
まずはそれぞれの雇用統計の結果から。(4指標のうち重要視される3つで比較)
① 雇用統計数値比較
【19年12月】
①非農業部門雇用者数
→予想:+18.6万人、結果:26.6万人(8万人上振れ)
②失業率
→予想:3.5%、結果:3.5%(±0%)
③平均時給
→予想:+0.3%、結果:+0.2%(-0.1%)
【20年3月】
①非農業部門雇用者数
→予想:+17.5万人、結果:27.3万人(9.8万人上振れ)
②失業率
→予想:3.6%、結果:3.5%(-0.1%)
③平均時給
→予想:+0.3%、結果:+0.3%(±0%)
その時の環境もあるので指標だけで単純比較できるわけではいのですが、19年12月発表より20年3月発表の方が良い数値なので少なくとも、20年3月の方が為替に良い影響与えそうですよね?
それでは発表時の為替の動きを見てみましょう。
② 雇用統計発表時の為替の動き
雇用統計発表当時の市場環境によって 、発表後の動きに影響出てしまうので発表直後(発表後15分間)の短期的なエネルギーの差を比較しています。
【 19年12月/ドル円/15分足】

雇用統計発表後の15分間での比較ですが、ローソク足の実体ベースで「32pips」程度上昇しています。
そして、今回の発表↓
【20年3月/ドル円/15分足】

19年12月の半分程度の「17pips」の上昇にとどまっています。
※目盛りの間隔が違うのでもっと差があるように見えますが、数値を見ると2倍程度の差となります。
3.3/6(金)の雇用統計になぜ為替は反応しなかったのか?
反応しなかったというと少し語弊があるかもしれませんが、今回の雇用統計の結果は為替への影響が限定的でした。
その一番の理由は、
今回の雇用統計がコロナウイルスによる経済(雇用関連)への悪影響を反映できていないからです。
3月6日に発表される雇用時計は2月の数値なので、3月以降のさらなる懸念はあるにしろそんなことはないのでは?
と思う方も多いかもしれません。
実は雇用統計の集計は月の中旬に行うので2月いっぱいの数値ではないのです。
厳密には12日を基準として、12日を含む週の雇用状況を調査します。
ここで一旦違う話題に移ります。
市場がリスクを懸念しだしたのはいつからでしたしょうか?
それは21日(金)~24日(月)あたりからです。(根拠となるチャートは後半に掲載しています。)
そうなると雇用統計の調査対象となる12日を含む週は、まだコロナによる経済への影響が顕在化していません。
つまり今回の3月6日発表の雇用統計はコロナによる経済(雇用関連)への打撃をキチンと織り込みきれていないのです。
数値としてはとても良かったので、そこに関しては素直に喜ばしいことなのですが。
もちろん理由はこれだけではなく、そもそもリスクオフの流れだったり、3月以降のいつまで続くか分からい経済への悪影響の懸念などもあるかと思います。
※参考チャート※
ドル円・ダウ・日経225の日足チャートをのせてますが、どれも2/21日(金)~24日(月)あたりから急落し始めてますね。
【ドル円/日足】

【ダウ/日足】

【日経225/日足】

4.まとめ
経済指標発表はもちろん数値が大事なのですが、実は指標そのものを紐解いていくとまた違った見方ができたりします。
今回はそれを示す良い例になったのではないでしょうか?
例えば前回ISM(製造業/非製造業景気指数)の数値が良かったですが、これはあくまで景況感を示す数値なので今回の雇用統計のような定量的な指標を重視する、なんて言っている有識者の方もいます。
FXでトレードする上で皆さん日々分析/検証などされているかと思いますが、たまには一度立ち止まって少し広い視野で物事を見ると新しい発見があるかもしれませんね♪
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